2010年08月30日

バイオグラフィーBLOG 40

再び走り始めた僕だったけど
目的を持たずただ走り続けることは
相変わらず苦痛を感じ

いったいいつまで走るつもりなんだよ〜
って言うかこれからどこに行くんだよ〜

今ならまだ戻れる。
いやいや前に向かって進むんだ!

そんな気持ちと再び僕は戦っていた。

ただ、たとえ小さくても何かの目標を持つことで
前に進むモチベーションを保てるということを
いつしか身に付けていた。

兵庫在住の田中先輩以外、知り合いはゼロだけに
こらから頼れる人は誰もいない。

だから僕は旅の途中で出会う方々に

すいませ〜ん!

どこか有名な場所とか
名所とかありませんかぁ〜?

と聞いて回ることで
小さな目標をゲットして行った。

ある初老の男性から

だったら姫路城を見ておきなさい。

と言われ

ひめじ、じょう??

当時、知識のかけらもなかった僕は
それがお城であることに気づくまで
少しの時間を要してしまった。

お城なんて全然興味ないし
退屈そうだし、やっぱやめようかな??

なんて思いながらも
大切なのは前に進むことと

まぁ行く当ても何もないだけに
取り合えず姫路城を目指して僕は走り始めた。

これが姫路城かぁ〜

生まれて初めて見る姫路城の素晴らしさに
僕はカルチャーショックを覚えた。

それまでお城なんて・・・

と思っていた僕にとって
姫路城のクオリティーは想像以上に高く愕然とした。

お城や歴史を馬鹿にしていた自分が情けなくなり
姫路城の見学を機に僕は歴史ファンになったと言っても
過言ではない。

その後も鳥取砂丘や
その土地その土地の名物や名所を目標に
僕はひたすら走り続けた。

生まれて初めて見る
素晴らしい景色の数々に

それまで無理やりだった目標設定も、次第に

もっと見てみたい!!

という願望に変わって行った。

この頃から
自分の意識が変わったことを覚えている。

それは親戚や知り合いが全くいない
というだけでなく

今の今まで全く足を踏み入れたことのない
未体験ゾーンに突入した様な
そんな気持ちになったんだ。

初めて走るロード。

そして
知り合い&身寄りゼロ。

そんな正真正銘の未体験ゾーンに突入したことで
かつてない不安を覚えると同時に
初めて本当の一人旅をしているんだと僕は感じられたんだ。

事実、その頃から「帰りたい」とか「戻りたい」
といった気持ちにならなくなったことを覚えている。

かなりの距離を走り、全く知り合いがいない土地だけに
確かに不安もあったけど、だけど

見る景色の一つひとつが

そして
すれ違う人の一人ひとりがとても新鮮で

僕のハートはドキドキよりも
ワクワクが勝っていたんだ。

慣れない野宿も何度か経験する内に
次第にベストポジションの選び方も分かっていった。

今日は公園にしよう。

少し大きめの砂場を見つけた僕は
ひんやりとしつつもやわらかい感覚の砂場に
今、一人旅でのベストオブポジションをゲットした。

目を閉じ、ウトウトとしかけたその時
ザクザクという足音が聞こえた。

初めは、誰か来たな。
ぐらいに思っていたけど

だんだんと自分の方に足音が近づいている様に感じ
少し不安になって来た。

ま、まさかな・・・

と思い直し、再び熟睡モードに入った。

しかし、なぜか足音は僕の寝ている方に
近づいて来ている。(汗)

辺りは真っ暗闇。
しかも足音は複数。

そう言えば最近あった
「若者によるホームレス暴行事件」
という新聞記事を思い出し

ま、まさかな



も、もしかして



変わったその時、数名の足音が
ピタリと僕の頭の周りで止まった。

お、終わった・・・
僕の人生、ここで終わった・・・

あまりの恐怖で体がこわばり
目も開けられない状態でいる僕の耳元に

兄ちゃん。
ここは屋根ないから雨降ったら濡れるし
こっち来なよ。

!?!?

全く予想外の展開に
一瞬何が起こったのか分からなかったけど

そっと目を開けると

屋根付きのベンチを指さした
正真正銘のホームレスのおじさんたち3人に
僕は囲まれていた。

しばらく洗濯もお風呂にも入っていないだろうなぁ
というおじさんたちの姿に正真正銘のホームレスを僕は感じた。

い、いえ
ここで結構ですから。

そう断ったハズなのに

信じられないことになぜか僕の周りで
一升瓶と珍味を肴に酒盛りを始め出したんだ。

本当に嘘みたいな話だけど
3人のホームレスのおじさんたちは
僕を中心に楽しそうに酒盛りを始め出したんだ。(涙)

(寝れないよ〜!!)
と思いながらも

まぁ、兄ちゃんも一杯どうだ?

と言う

そんなおじさんたちの楽しそうな顔を見ると
何だか今さら場所を変えるのも悪い気がして
少しだけ付き合うことにした。

当時どんな話をしたかはよく覚えていないけど
ただ久しぶりに若い人と一緒にお酒を飲めたことが
嬉しい嬉しいとしきりに言っていたことを今でも覚えている。

確かに見た目は良くないかも知れないけど
だけどとても親切で心の優しい人たちだった。

人は見た目で判断してはいけないと
小さい頃、よく言われたけどホントなんだと思った。

翌日、夜明けと共に目が覚めた僕は
ホームレスのおじさんたちと川の字になって
寝ている自分の姿に思わず(苦笑)。

嬉しそうに一升瓶を抱きかかえて
まだ気持ちよく寝ているおじさんたちを残し
僕は再び走り始めたんだ。

あれから20年の歳月が流れたけど
ホームレスのおじさん3人と酒盛りをしたのは
後にも先にもこの時だけ。

今から思えば一生忘れることの出来ない
とても貴重な経験だった様に思い出される。

















posted by Morii at 20:46| 日記

2010年08月17日

バイオグラフィーBLOG 39

「日本道路地図」だけを頼りに
再び走り始めた僕は、大都会神戸とは
180度違う暗闇だらけの峠道を走る羽目に。

街灯もない夜の山道は何とも不気味。

この時間、ここで転倒(コケたら)
マジでシャレにならない。

出来れば今夜の内に先輩宅に着きたい一心で
必死にアクセルを回したけど、延々と続く峠道に
だんだん不安になった僕は

さすがに体力の限界と身の危険を感じ
今一人旅、初の野宿をいざ決行することに。

そんな僕が野宿ファーストポイントに
選んだ場所は、何と「トンネル」。

山道だけに適当な場所も何もないだけに
取りあえず雨風をしのげるかな?と
トンネルの中で寝ることにしてみた。

慣れない寝袋で初めは寝つきが悪かったけど
ようやくウトウトしかけた・・・と、その時

ボオーー!!!!!
ゴオーー!!!!!


もの凄い爆音を響かせ
大型トラックがトンネルに入って来た。

それでなくても爆音なのに
トンネル内ではエコーも効いて
爆音量は2倍! 

しかも睡眠中だけに驚きは3倍!!

あまりの爆音に身の危険を感じた僕は慌てて
交通量のなさそうな場所に安眠ポイントを移動。

後で聞いた話だけど
トンネル内での野宿は
いろんな意味でご法度らしい・・・(汗)

あ〜 
マジで恐かった〜


と、ドキドキする心臓の鼓動にしばらくは
寝付けなかったけど、さすがに疲れもピーク。

気がつけば朝だった。

生まれて初めての野宿で迎えた朝は
とても気持ちのイイ朝だったことを今でも覚えている。

気分一新、朝日を味方に走り出した僕が
迷いながらも何とか「ホテル田中」に到着出来たのは
まさに先輩の朝食の直前。

「田中」という表札を見つけた時は

あ、あった!!

と、思わず声に出してしまったほど嬉しかった。

地元三重と比べれば大都会の兵庫県だけど
こんな山奥の田舎町。

別段、豪邸でも、町の有名人と言う訳でもない
ごくごく普通の田中家をよく見つけられたものだと
自分でも感心してしまった。

目的地さえ決めれば
たとえそれがどんな場所であっても
必ず辿り着けるってことを僕は知った。

遠いところよくいらっしゃいましたね。
朝ご飯まだでしょ?
よかったらご一緒にどうぞ♪


初めてお会いした先輩のお母さんは
とても優しい方で、当時まだ「遠慮」という
言葉の意味を深く理解していなかった僕は
いきなりおかわりまでしてお腹一杯ご馳走になってしまった。

久しぶりに会った先輩は
超ロン毛にあごヒゲまではやして
ワイルドというよりヒッピーな感じだった。

「本当に俺がやりたい仕事は
こんなことじゃないんだ!!」


という名台詞を残して

一早く退社した田中先輩は
未だやりたい仕事が見つからず、日々
ギターと麻雀に熱中している様だった。

それ、ロンっ!!
悪いなぁ〜
リーチ一発ドラドラでマンガンな。

旅の疲れもそこそこに
気がつけば何故だか僕も麻雀のメンバーに
組み込まれていた。

昼食後すぐに始まった麻雀大会は
夕食まで一気に続けられ

夕食後1時間後には男四人で
再び熱戦が繰り広げられた。

一人旅での予想外の麻雀。
お初のメンバー。
しかもアウエーということもあり
前半は押され気味だったけど

お母さんの美味しい夕食を頂いてからは
お袋パワー炸裂で一気に負けを取り返し
プラスにまで持ち返した。

(よしっ 運がこっちに回って来たぜ!
あと1回上がったらトップだ・・・)

そう心の中で思った瞬間

いったい何をしてるんだ!?

ぼ、僕は麻雀をするために
ここまで来た訳じゃないんだ〜


忘れかけていた「日本一周」という
壮大な目標を思い出した僕は

明日も泊まって行くんだろ?
という先輩のセリフに

いや、これでも一応
日本一周の旅に出てるんですよ!
という言葉を返した。

「日本一周」なんてことは
初めから信じることなく

わざわざ自分に会いに来てくれたとばかり
思っている田中先輩は、僕を楽しませ様と
いろいろ気を使ってくれていた。

明日は4対4(ヨンヨン)で飲み会だぞ〜♪
一人は確実に可愛い子が来るらしいから
期待しててもいいからな。

ご、合コンですか!?

その素晴らしいイントネーションに、一瞬
このままここに居続けようかな?
とも思ったけど

ダメだ!ダメだ!!
今、合コンなんかに参加したらマズイって!
きっと前に進めなくなっちゃうよ!!

「この先に何が待っているか全く分からない一人旅」と
「確実に可愛い子が参加する保障付きの飲み会♪」

という

究極の選択を下された僕は
断腸の思いで一人旅を選んだんだ。(涙)

翌朝、ちゃっかりと朝食だけ頂いた僕は

マジでもう行っちゃうの〜??
せっかく超可愛い子に来てもらうのにさぁ〜

先輩のそんな言葉に後髪を引かれる想いをしながら

いろいろお世話になりました。

そんな言葉を残して僕は
ゴールなき旅に再び走り始めたんだ。

20年経った今でも思う。

あの時、先輩の甘い誘惑に乗って
あの場所に居続けていたら
きっとその後の未来は大きく変わっていたんだろうなぁ〜

って。

朝から麻雀大会で盛り上がり
毎日、美味しい手料理を食べながら
夜には合コンで楽しく過ごしていたら

それはそれで
きっと楽しい時間だったと思う。

だけどそれは

その後の一人旅で経験した全ての出来事や
その後の一人旅で見た全ての風景を失くすことを意味するんだ。

何かを得ることは
何かを捨てること。

刺激的な甘い夜と引き換えに
僕は一生忘れることのない時間を手に入れたんだ。

今から思えば
それほど悩むほどのことではないかも知れないけど
でもあの時の僕にとってはホント究極の決断だったんだ。

起こした行動に間違いなんかないと思う。

どちらを選択していたとしても
きっと楽しい時間だったと思う。

ただ20年経った今でも時々思うことがあるんだ。

あの時の“超可愛い子”という女性が
いったいどんな人だったのかってね。




























posted by Morii at 16:39| 日記

2010年08月10日

バイオグラフィーBLOG 38

出発したと思った矢先

続けるのか?
それとも引き返すか?


という選択を叩き付けられた僕は

やっぱクーラーの効いた部屋で
ゆっくりするのも悪くないなぁ〜

それにせっかくの休みなんだから
海に行ったりして友達と楽しく遊ぶべきかな?

そんな自分と

いやいや、日本一周をするために出発したのに
いきなり引き返してどうするんだよ〜

部屋でゆっくりしたり
友達と遊ぶことなんていつでも出来るって!!

だけど二十歳で日本一周の一人旅なんて
絶対に今しか出来ないんだぞっ!!

楽な方を選んでちゃダメだって。

って言うか

まだ三重県じゃん!
諦めるにも早過ぎるって!!

という
もう一人の自分と戦っていた。

結果的には確かに
いくら何でも早過ぎるでしょ〜

ということで続行することに。

気を取り直してバイクを走らせた僕は
取りあえずの目標を決めることにした。

いきなり「日本一周」という
壮大な目標だけでは、やはり気が重い。

もちろんそれが最終目的地でないにしても
何かしら目指すべき目的がないことには
走り続けることは難しいと思った。

どこを目指そうか?

近過ぎてもテンションが上がらないし
遠過ぎてもモチベーションが続かない。

近過ぎず、遠過ぎず
それでいて行ってみたくなる様なところ・・・

そうだっ
六甲山を登ろう!!


18歳で車を買ってすぐにドライブに行った
六甲山の夜景を思い出した僕は
取りあえずの目標として兵庫・六甲山を選んだ。

よしっ!
今日の目標は
六甲山の100万ドルの夜景だ!!


ただ闇雲に前へ前へと走ることよりも
ちょっと頑張れば届きそうな

そんな小さな目標を立てることが
再び走り出すテンションに繋がることを知った。

走り出すこと数時間。
暗くなると同時に辿り着いた神戸の街並みは

山・川・木・空といった
それまでのカントリーロードとは
打って変わって片側4斜線の大都会。

交通量の多い街中を抜け
六甲山を目指した僕は

前方を走るディーゼル車の排ガスを
もろに浴びることで純白のTシャツが真っ黒に。(涙)

何だかんだと言って「小さな目標作戦」が功を奏し
無事、六甲山に到着することに僕は成功した。

100万ドルと言われる絶景の夜景も、男一人
排ガスまみれの僕には2万円ポッキリと不満足でも
小さな目標をクリア出来たことが満足。

辺りを見渡すと超ロマンティックな雰囲気の中
イチャイチャしたカップルだらけに場違いさを感じながら

僕の目標は日本一周なんだ!!

羨ましい〜!!
という気持ちを押し殺し
一気に山を下った。

どこに向かおうか?

寝るにはまだ少し早いし
お洒落な神戸で野宿は見合わないし。

いきなり目標をなくした僕は、次なる目的地として
一足先に退社してしまった兵庫在住の田中先輩宅をセレクト。

久しぶりに先輩にも会いたいし
出来ればお風呂にも入れて欲しいし

今夜は「ホテル田中」に泊まることにしよう!

再び小さな目標を立てることで
僕は前へと進み始めた。

「カー・ナビゲーション・システム」

通称“カーナビ”という超便利な代物が
まだ世の中に発売される随分と前の話。

と言うか

そんな便利なモノがこの世に誕生するなんて
考えたこともなかった時代の話。

目的地を「脳」にセットさせてから
おもむろにライト片手に「日本道路地図」を広げた。

う〜ん。
詳しい場所なんて
ゴチャゴチャしててよく分かんないや。

まぁ 何とかなるっしょ。

だいたいの方向だけを頼りに
僕は「ホテル田中」を目指して一気に走り始めた。

あの時の僕にとって

「ホテル田中」に着くことが目的じゃなく
「ホテル田中」に着こうと動き出すことだけが目的だったんだ。


posted by Morii at 15:46| 日記

2010年08月09日

バイオグラフィーBLOG 37

夜明けと共にスタートさせた
生まれて初めての一人旅は
期待と不安で一杯の一人旅だった。

これから何処に向かうのか?
何が待っているのか?
一人旅ゆえに会話のない孤独な旅なのか?

期待半分、不安半分。

ルートも宿も何も決めないままにスタートさせた旅は
誰に相談することもなく、誰の目も気にすることなく
走りたい時に走り、止まりたい時に止まる。

まさに自由気ままな旅。

時間も何も気にすることなく自分のペースで
思いのままに、僕は日本一周の旅に出たんだ。

心地良いバイクのエキゾーストと
汗を乾かしてくれる風を体中に感じ
気分はトムクルーズ。

これから起こる出来事や初めて見る光景に
ワクワクと胸を膨らませながら時速100キロの世界を
楽しんでいた。

右に曲がり、左に曲がり
自分の思う道を自分で選びながら
ひたすら前へ前へと突き進んだ。

どれ位の距離を走行したのか?

ある程度の時間を走行した頃に
ふと、あることを思った。

それは

いったい
どこまで走るの??


ってこと。

「日本一周」な〜んて言いながら
いざ走り出してみると
どこに向かえばいいのか分からなかった。

「自由・気まま」も長時間続くと
何だか刺激が弱くなって来るもので

ただ漠然と走り続けることは意外と苦痛だった。

「日本一周」という明確な目標を立てた様でも
実のところ「不明確な目標」だったことを実感。

風を切る様なスピードは刺激よりも
体力の消耗を感じさせ

「日本一周」という壮大な目標は時として
精神的プレッシャーを生み出した。

走り出したからこそ分かることがあるもので

思っていたことと、やってみることは
案外、違うことを僕は知った。

これだけの距離を走ったにも関わらず
地図で計るとほんのちょっと。

まだ乗りなれないバイクでの
「日本一周一人旅」は想像以上に
気力・体力・精神力を必要とした。

こんなんでホントに
日本一周なんて出来るの!?(汗)


旅をスタートさせた初日。

しかもまだ陽が明るい内から
こんな気持ちじゃ先が思いやられる〜

身の丈に合わない
「日本一周」という壮大な目標に
いきなり立ち往生してしまった僕は

続けるのか?
それとも引き返すか?


自由気ままな一人旅ゆえに
誰に相談することも出来ず
誰の目も気にすることも出来ず

僕はいきなり自分自身に
究極の選択を叩き付けられたんだ。



posted by Morii at 15:56| 日記