2010年09月23日

バイオグラフィーBLOG 43

再び次の街に向けて走り始めた途端
僕のバイクは急に乗り心地が悪くなってしまった。

あちゃ〜 
パンクだぁ〜

仕方なく重たい750cc(ナナハン)を引きながら
修理してくれる店を探す羽目に。

暗くなり始めた時間帯だったけど
運良くバイクショップを見つけて一安心。

すいませ〜ん。
パンクしちゃったんです〜


ようやく辿り着いたバイクショップの店員さんは

すいませ〜ん。
うち、旧車のパンク修理出来ないんですよね〜


と一言。

う、うそ〜ん!!

そうこうしている内に陽も落ち始め
辺りのお店も閉店し始めた。

まだ24時間営業がスタンダードではなかった時代。

暗くなり始めると同時に数軒しかなかった
お店も次々に閉まり始めてしまった。

ま、まずい。(汗)

このままだと、ここで立ち往生してしまう。

取りあえず腹ごしらえしながら
食堂のおばちゃんにバイクショップの場所を聞くと
ここから20分ほど先にバイクショップが
あるという情報をゲット!

急いで食事を済ませた僕は
取りあえず、重いバイクは人目の付かない場所に隠し
いざバイクショップを探しに出た。

だけど全然見つからない。

確かに20分ほど走ったのに
おかしいなぁ〜と思いながら
ある重大なことに僕は気づいた。

「20分ほど先」とは

歩いて20分なのか?
走って20分なのか?
車で20分なのか?

で、その距離は大きく変わるということ。
更におばちゃんと自分の速度感覚も大きく違うハズ。

結果的には車で20分の距離にあった
バイクショップは運悪く定休日だった。

ガーン
こ、ここまで来たのに・・・(涙)

捨てる神いれば
拾う神もいるもの。

辺りが完全に暗くなってしまい
途方にくれて歩いている僕に

ガソリンスタンドのおじさんが

にいちゃん、どうした?

と声をかけてくれた。

理由を説明すると

ばってん
今日はウチの店に泊まっていけばよかたい!

と言ってくれた。

スタッフのお兄さんたちも
腹減ってるだろ?と
店長のおじさんが帰ってから

ビールと食料を用意してくれて
一人ぼっちの僕のために軽い宴会をひらいてくれた。

翌朝、僕のバイクを直すために
近所に住む自転車修理の達人という
73歳のおじいさんをわざわざスタンドまで呼んでくれた。

そのおじいさんは
カワサキ750RSZ2という僕のバイクを見た瞬間

よか バイク乗ってるねぇ〜

ゼッツーかぁ〜 懐かしいねぇ〜
ワシも昔乗ってたばい、と

いろいろ乗ったけどこのバイクが一番よかとよと
懐かしそうに昔話を聞かせてくれた。

本業は自転車修理だし、最近のバイクは
みなチューブレスタイヤだから
バイクのパンク修理なんて本当に久しぶりたい
と言いながらも

73とは思えない手際で見事に
僕のバイクを修理してくれた。

少し腰が曲がり、手足も細く白髪頭のおじいさんが
750ccという大型バイクを手際よく修理している
その姿に僕は「職人」というものを感じた。

この時が僕にとって「手に職を持つ」ということの
素晴らしさを初めてリアルに感じた瞬間だったかも知れない。

おじいさんの後姿は
いつか自分も

いつでも、どこでも、どんな状態でも
リクエストに応えられるそんな職人に
なりたいと僕に思わせてくれた。

ありがとうございます!!

代金を払おうとする僕に
金はいいから、事故だけはしない様に
気をつけて旅を続けて欲しいと言ってくれた。

なんていい人たちなんだ。

あれから20年という歳月が流れたけど
この一件によって
未だに僕の九州人に対するイメージは

有名人でもなく、知事でもなく
この時出会ったスタンドのスタッフと
自転車修理のおじいさんであり

九州=「超優しい人たちの集団」
とインプットされている。

わずか数名の人たちの行動や発言が
何十年もの間、僕の中で九州全域に住む全ての人の
イメージを作り上げているという事実に

その土地のイメージとは
自分の行動や発言で作られていることを知った。

再び走り出そうとした僕は
行くあてのないことに気づき
どこかいい場所がないかと尋ねると

九州という言えば阿蘇たい。

とおじさんが教えてくれた。

阿蘇山ですか?
(どんな山だろ?)

手を振って見送ってくれるスタンドの皆と
お別れをしながら、阿蘇山を目指し始めた僕は

この時、阿蘇での素晴らしき出会いが
かつてないカルチャーショックを与えてくれるとは
この時まだ知る由もなかった。




posted by Morii at 08:46| 日記

2010年09月14日

バイオグラフィーBLOG 42

ついに九州上陸を果たした僕は
念願の長浜ラーメンを口にすることに。

この辺りで一番美味しいラーメン店って
どこですか?

そう尋ねる僕に

ラーメンと言えば長浜たい。
九州ラーメンは長浜たい。
ばってん長浜はいつも満席たい。


誰もが迷うことなく
長浜ラーメンを教えてくれた。

そ、そんなに美味しいの!?

高まる期待に胸を膨らませ
手書きの地図を頼りに僕は長浜ラーメンを目指した。

迷いながらもようやく
長浜ラーメンに到着した僕は

これが有名な長浜ラーメン!??

とビックリした。

誰もがナンバー1というお店だから
さぞスタッフも多く立派なお店なんだろう
と想像していたけど

目の前の長浜ラーメンは
平屋の古くさい感じのお店。

だけど長蛇の列!!

良い意味で僕の期待を裏切ってくれた。

これが噂の長浜ラーメンかぁ・・・

お世辞にもキレイと言えないお店だけど
有りえない長蛇の列に、ただただ

スゲェー
の一言。

たしか30番目くらいだったと思うけど
列の最後尾に並んだ僕は

こんなお店でこんなに並ぶんだから
よっぽどスゴイんだよなぁ〜とワクワクした。

もしかしてアイドル並の可愛い子が
いるんじゃないかと、ちょっと期待も。

待つこと数十分。

さほど広くない店内の端っこに
ようやく座れた僕は

スキンヘッドで恐そうな大将の顔を見た途端
アイドルなんていないことを確信。

店内を見渡すと客でびっしり。
“へい 大盛りいっちょー!!”
威勢の良い声が飛び交うお店の雰囲気に

商売とは見てくれじゃなく
味や腕で決まるんだと思った。


どんな悪条件も繁盛さえすれば
好条件に変わることを知ることで

悪条件だからダメだったなんて言い訳は
絶対に出来ないと思った。

パーキングもなく、決して立地条件も良いという
訳ではない裏通りにも関わらず
これだけ繁盛しているという現実は

小さくても十分やれる。

僕にビジネスの醍醐味というものを教えてくれた。

額に汗をかきながら
忙しくラーメンを作る合間に

にいちゃん、ひとりか?

と大将が声をかけてくれた。

はい!
美味しいラーメンを食べるために
バイクに乗って一人旅でやって来ました!!


という僕に、一言

そうか。
じゃもう一杯食ってけ。


と、気前良く
かえ玉をサービスしてくれた。

決してサービスをしてくれたからって訳じゃないけど
2杯目を食べ始めた途端、恐かったスキンヘッドの笑顔が
もの凄く優しく思えたんだ。

長浜ラーメンを食べたのは
この時が最初で最後だけど
あの時の味と感動は今でも忘れられない。

大切なのは中身。

たとえ店が古くたって
大将の顔がスキンヘッドで恐くたって

本物の実力さえあれば
どんな悪条件でも勝負出来ることを
長浜ラーメンは僕に教えてくれた。

たかが一杯500円のラーメンだけど
遠く離れた町の人から九州一と言われる
大将の腕とハートに僕は心から感動したんだ。

いきなりこんなに美味しくて
どうするんだ!?

次なる九州ラーメンを目指して
走り始めた僕にあるハプニングが・・・

あれあれあれ〜
バイクが動かないぞ〜(汗)
























posted by Morii at 16:31| 日記

2010年09月01日

バイオグラフィーBLOG 41

西日本に突入した僕は
迷うことなく海岸線を走るルートを選んだ。

理由は単純に気持ちが良さそうだから。

街中を抜け出し一気に日本海を目指した僕は
走ること約40分・・

キター!!!

目の前に広がる一面の海に
僕は心から感動した。

青空に下に広がる一面の海は
本当に神秘的で噂以上にキレイだった。

ヨッシャー!!
ここまで来ればもう地図なんていらない。

一気に行くぜぇい!!

広大な海を右手に当時、大人気だった
映画「トップガン」のカセットを
持参したウォークマンでガンガンに聞きながら

ノンストップで
僕はサンセットロードを爆進!

延々とどこまでも続く果てしない海が
超正確に僕をナビゲートしてくれた。

灼熱の太陽も風と海が癒してくれ
沈み行く夕日を体中に感じながら
時速100キロの世界を僕は満喫していた。

気分は完全にトムクルーズ。

気分が乗るとスピードも乗るもので
体の疲れもなくなり予想以上の好ペース。

ヨッシャー!
ばってん
ここまで来れば目標は一気に九州でごわす。


とばかりに

ついに僕は「九州」という地名を
心の中にロックオンさせた。

“取りあえず行ける所まで”

と思ってスタートさせた旅だったけど
九州という地名に随分遠くまで来たもんだとワクワクした。

九州と言えばラーメン。

そうだ!
九州中のラーメン食べ歩きっていうのも面白そう!

いつしか僕の目標は
九州ラーメン食べ歩きの旅に変わっていった。

関門海峡を渡り、いざ九州に到着。

生まれて初めて降り立った九州の地に
本当にここまで来たんだ〜とちょっと感動。

いろいろあったけど
ついに九州まで来たんだと
かなり感動した。

やればできるっ!!

誰もいない一人旅だけに
自分で自分を褒めてあげるしかなかった。

たとえ少しずつでも諦めずに前に進めば
いつか必ず九州まで辿り着けるってことは
誰でも分かる当たり前のことかも知れないけど

だけど頭で分かっていることと
体で体感することは全然違うってことを僕は知った。

本当に当たり前なことかも知れないけど

前に進むことで
本当に九州まで来れるんだってことを

実際に九州まで来たことで
初めてリアルに感じられたんだ。

頭ではどんなに分かっているつもりでも
実は全然分かっていないってことは多いかも知れない。

考えてたことと、感じたこと。
似ている様でもかなり違うって思った。

世の中に体感に勝るものはなく
考えたり読んだりして学ぶのではなく
体験してこそ初めて自分のモノになるって思った。

生まれて初めて降り立った九州の地は、それまで
僕が思い描いていた田舎的なイメージとは全然違い
超高層ビルが立ち並ぶ大都会だった。

大都会な街並みに圧倒された僕は
それまで抱いていた九州のイメージなんて
簡単に吹き飛ばされてしまった。

九州がこんなに都会だったなんて・・・

まさに「身の程知らず」とはこのこと。

自分の方がよっぽど田舎人だったと言うことを
身を持って思い知らされた。

昔から「九州男児」という様に
九州の男は皆男っぽい人ばかりと思っていたけど
意外と優しい人が多かった。

九州男児=西郷どん。

これも単なるイメージに過ぎなかった。

すれ違う人に

九州の男性って「おいどん」とか
「ごわす」って言うんですか?


と聞いて回ったところ

それって
西郷さんでしょ。


西郷隆盛の影響で良く言われるけど
今時、そんな言い方する人なんていないですよ。
まぁ「ばってん」は普通に使いますけどね。

とのことで、つまりこれも
単なる僕のイメージに過ぎなかったってこと。

自分が思い描いていた九州と
目の前にある現実の九州とのギャップに
戸惑いを感じながらも

でもどちらがホントかと言えば
間違いなく目の前の九州が本物であって

僕の頭にあった九州のイメージなんて
所詮、単なるイメージにか過ぎなかったことを痛感させられた。

どんなに分かっているつもりでも
実は全然分かっていないってことは
きっと多いんだと思う。

分かっているつもりでいたことの多くは
単なるイメージに過ぎないんだって思えたことで

自分の中にあるイメージを消し去り
自分の目で見たもの、そして自分の体で
体感したものだけをインプットさせること。

これが大事なんだってことを
九州の街が僕に教えてくれた。

聞いたことや読んだこと。
教えてもらったことや、学んだことなんかじゃなく
自分で体感したことこそが自分にとっての
真実なんだって思った。

大切なのは、他人の感じたことでも
世の中の一般論でもなく

自分にとっての真実。

多分○○だろう。
きっと○○だろう。

そんなまだ見ぬ先入観を捨て去り
目の前の現実を素直に取り入れることが大事なんだ。

九州に降り立ってから、ことごとく僕の九州イメージは
外れたけど、ただ名店「長浜ラーメン」の味だけは
唯一、僕のイメージ通り、最高の味だった。





posted by Morii at 17:52| 日記