2012年09月18日

バイオグラフィーBLOG 59

中学を卒業してから、ずっと離れていた
地元での暮らしがゆっくりだけど始まった。

正直、もう二度と母親の手料理を
食べることなんてないだろうと思っていただけに
母親の作る手料理に何とも言えない気持ちだった。

お蔭で三度の食事に悩むことはなくなったけど
改めて何もかもなくなったことに気が付く。

昔から「シンプル イズ ベスト」
なんて言うけれど

シンプル過ぎるのもどうかな?

と思える程に僕はシンプルだった。

あの頃の僕はホントに多くの物を失った。

でも失ったのは
誰の目にも見える「物」であり、

目では見えない大切な「モノ」まで
失うことはなかったんだ。

むしろ失った多くの物と引き換えに
手に出来たものだって少なくなかった。

その一つに「時間」。

当たり前かも知れないけど
1日は24時間で1年は365日ってことは
世界の誰にも共通する唯一の共通事項だ。

だけどそれまで朝から夜遅くまで
必死に働いていた僕にとって
1日は一瞬で、1年はあっと言う間だった。

でも今は1日が長い。
とてつもなく長く感じられる。

物理的に考えれば1日24時間ということは
変え様のない事実かも知れない。

でも何なんだ!?
この時間の流れる速度の違いは!?

やることが多過ぎた頃はドライブする時間もない程に
24時間はあっと言う間に過ぎ去って行った。

だけどやることがなさ過ぎると
1時間はこんなにも長く感じられるってことを
僕は知ったんだ。

息つく暇もない程、忙しい毎日に
今の今まで「時間」なんてものを
意識したことはなかったけど

改めて「時間」というものを
意識してみることで時間は感覚なんだと思った。

1分は60秒という事実は変えられない以上
一瞬に感じるのも、ゆったりと感じるのも
自分の感覚でしかない。

どんなに莫大な時間であっても
それを一瞬に感じてしまえば
それは「一瞬」の時間でしかない。

反面、たとえわずかな時間であったとしても
長く長く感じられればそれは「長い時間」と言える。

時間、それは自分自身の感覚なんだ。

「目に見える多くの物」&「忙しい毎日」と引き換えに
僕は目に見えない「時間」を手に入れたんだ。

ただ手に入れた時間を使わないと
それは退屈という苦痛に変わってしまうことを
身を持って体感した僕は

悩んだ挙句、その莫大な時間を「読書」と
交換することにしたんだ。

この時、初めて時間と交換するという
感覚を身につけた気がしたんだ。

読書なんて聞こえは良いけど、でも実際は
有り余る時間を使いこなすには読書でも
するしかなかったんだ。

どうせやることがないのだったら・・・
そんな気持ちで読み始めた一冊の本が、

二冊、三冊となって行き、
気が付けばたくさんの本と出会うこととなった。

後にも先にもこれ程まで集中して読書だけに
時間を使えたことはなく、この時期、膨大な量の
本を読むことが出来たのは人生においてホントラッキーだった。

また当時、本を買う余裕のなかった僕は
今ある本、借りる本、もらう本と、
お金をかけずに読むことが必須条件だったため

「自分の好み」や「先入観」が一切なく
手に出来た全ての本を読めたのも良かった。

だって事実、難しそう〜、つまらなそう〜
興味なさそう〜!!と思える本ほど良かったからね!

いかに自分の見る目がないかってことを
ここでも痛感させられたんだ。

そんな中で偶然、僕は運命の出会いを
果たすこととなったんだ。

それは司馬遼太郎氏の
「竜馬がゆく」との出会いだった。

以前から「龍馬」の名前は噂には聞いていたけど
どいつもこいつも坂本龍馬、坂本龍馬って
ホント、何やねん!!って感じだった。

だけど「竜馬がゆく」を読み続けて行く中で
僕は一気に龍馬フリークになって行った。

1巻の途中から夢中になり
2巻では一気にファンになり
ワクワクしながら一気に全8巻を読破。

日本の未来を考え、腐敗政治に立ち向かい
争いや武力ではなく知力と行動力を持って
新しい日本の突破口を築き上げたその勇敢な姿に

マジ、カッコイイぜえー!!!!
と胸が熱くなった。

いつか僕も龍馬みたいになりたい。
僕も龍馬みたいに熱く生きたい。

そう思えることで、くすぶっていたエネルギーが
僕の中で動き出して来たのがわかった。

時代は違うかも知れない。
でも何百年経っても変わらないことがあるんだ!

確かに時代の流れと共に変わらなくてはならないこともある。
でもどんなに時代が変わろうとも変えちゃいけないことがあるんだ!!

それは僕にとって生まれて初めて
「歴史」と出会えた瞬間だった。

「後ろは振り返らない」

そう思っていた僕にとって
中2で習った「歴史」の時間は
最高のリラックスタイムだった。

だけど、何故か西郷隆盛と坂本龍馬の
名前だけはよく覚えていたんだ。

よく分からないけど教科書に載るくらいなんだから
きっとすごい人なんだと思う。

でもそんなすごい人をわずか1ページで
紹介して終わっちゃうのって、どうなの??

〇〇の乱とか〇〇事件とかの紹介じゃなくてさぁ
もっとすごい隠された人生ドラマみたいなのって
ないのかなぁ〜

僕はそういったことが知りたいんだ。

学生時代、ずっとそう思っていた僕は、
こんな形で幕末の志士、坂本龍馬との出会いを
果たすこととなった。

過去を知ることが歴史じゃない。
過去を知ることで未来を読み解くことが
歴史だったんだ。

1冊の本が人生を変えることがある。
たった一人の生き様が、人一人の人生を
変えることだってあるんだ。

身を持ってそう体感した僕は

“いつか僕もそんな人になりたい”

そんなことを思いがら

有り余る莫大な時間を読書と交換することで
懸命に「退屈という名の苦痛」と戦っている僕だった。



posted by Morii at 09:10| 日記